建築業

建設業の部門別計算の目的と原価部門

建設業会計について、今回は建設業における原価計算の第2ステップである部門別計算の目的と原価部門について整理していきます。

部門別計算の目的

比較的規模が小さい企業では、費目別計算によって把握された各費目のうち、間接費は適当な配賦基準によって各工事に配賦し、工事原価計算を完了することができます。

しかし、規模の拡大にともなって工事に共通してサービスを提供する部門の作業も大きくなるため、厳格な原価計算や効果的な原価管理のためには、部門別計算を実施しなければなりません。

工事原価計算における部門別計算の目的は、まず第1に、より正確かつ妥当な工事原価を算定することにあります。工事間接費の内容は、工事の規模が大きくなるほど、複雑かつ重要になってくるため、これをすぐに各工事に配賦したのでは、適正な工事原価の計算をすることができません。

そこで、原価の発生場所を中心として設定した原価部門別に工事間接費(現場共通費)を集合させて、各々について適切な配賦基準や配賦方法を選択すれば、より妥当な工事原価が算定できます。

よって、部門別計算の考え方は、複合的な費目設定や工事間接費を類似した費目グループ別に配賦基準を設定することなどの考え方を発展させたものになります。

第2の目的は、原価部門別の原価データを利用して、効果的な原価管理を実施することです。原価数値を用いて生産活動の管理を可能にするには、原価の発生を作業機能別もしくは管理責任者別に把握することが必要になります。

原価部門の定義と区分

原価部門は、「原価発生を機能別、責任区分別に管理するとともに、製品原価の計算を正確にするために、原価要素を分類集計する計算組織上の区分」と定義されます。

すなわち、原価部門は、計算の便宜から設定される抽象的な組織区分であるため、各企業の組織構造と必ずしも一致するとは限りません。ただし、原価管理上の組織区分と経営遂行上の組織とが一致し、責任者別の部門管理を行えるほうが望ましいため、多くの企業において原価部門と具体的な組織とがリンクされています。

建設業では、大きく、工事関係部門と本社管理関係部門とがあるが、これらは、工事原価と販売費および一般管理費とに区別され、工事関係部門での原価発生が工事原価計算に関連付けられます。よって建設業における原価部門の体系は以下のように区分されます。

【原価部門の区分】

原価部門の区分

原価計算の基本ステップにおける部門別計算

次に原価計算の基本ステップの図から、部門別計算の位置づけを整理します。

【原価計算の基本ステップ】

 原価計算の基本ステップ

部門別計算は工事現場に共通する原価の適正な配賦のために実施されるため、工事間接費(現場共通費)について計算されます。一方で、各原価部門で発生した工事直接費(現場個別費)は、直ちに各工事に直接賦課されます。

補助部門で発生した工事間接費については、施工部門に配賦され、施工部門に集計された補助部門の工事間接費と施工部門で発生した工事間接費は、最終的に各個別工事に配賦されます。

部門別計算のシステム構築のポイント

部門別計算を正確に行うためには、まず原価部門を正確に設定する必要があります。システム開発でいうと原価部門マスタの検討時に必要になる作業です。上記でも触れましたが、原価部門はあくまで抽象的な管理組織であるため、実際の組織と必ずしも一致しなくても問題ありません。しかし、管理責任の範囲を明確にするためにできるだけ実際の組織と同期しておくことが望ましいです。

また、部門別計算はあくまで各部門で発生した間接費を個別工事に配賦するための手続きですので、配賦基準を柔軟に設定可能なことと、最終的に個別工事まで配賦する仕組みが必要になります。

前回も触れましたが、ロジックを複雑に組むことよりもシンプルかつ柔軟に対応できるようなシステム設計によって使いやすいシステムにすることがポイントです。

まとめ

いかがでしたでしょうか?部門別原価計算の目的もあくまで個別工事の正確な原価を把握する点になります。その点に気をつけながら原価部門の検討、システム検討をしていくことが重要です。配賦についても、シンプルかつ柔軟に設定可能にすることで利用者がわかりやすいようにしていくこともポイントの一つです。

次回予告

次回は、部門別計算における配賦方法について発信していきます。

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