建築業

建設業海外展開の業績管理・会計業務における6つの課題とその解決法

日系建設業がグローバル展開した際に、業績管理、会計業務において課題を抱えられている企業様も多いのではないでしょうか?今回は、これらの業務課題を整理し、ROITが得意としているSaaS型クラウドERPを駆使してこれらの課題を解決する方法について情報提供していきます。

建設業海外進出の背景

国内の建設市場では、東京オリンピック開催に向けた関連施設の建設や交通インフラ整備のため、2020年に向けて順調に推移しています。しかしながら、オリンピック後、長期的には国内での少子高齢化・労働人口の減少等にともない国内建設市場は厳しい状況になっていくことが予想されています。

一方、海外の建設市場は、アジアの経済発展にともない拡大しており、日本政府としても高品質の建設技術を海外に輸出し、世界の経済発展に寄与することを目標として掲げております。グローバル化の進展にともなう日本企業の海外工事受注総額も、海外建設協会の調べで2015年度には1兆6,825億円と2014年度に続いて2番目に大きい額となっております。

アジアを中心とした海外建設市場の拡大に伴い、日本企業の海外進出がこれからどんどん進んでいくことが予想されます。

海外展開時の業績管理・会計業務における6つの課題

それでは、海外展開した際の業績管理および会計業務に関する課題について整理していきましょう。

リアルタイムでの業績把握が難しい

海外進出して業務プロセスが確立していない段階において、海外拠点からの業績報告は、月次ないし四半期で連結財務報告に必要な財務数値結果だけが収集されることが多いと思います。その際の課題としては、結果だけは把握できるが、プロセスの把握ができないため、なぜこのような結果なのか追うことが難しいということです。

国内の各拠点では、本社、支店、組織、工事単位に受注状況、工事原価など少なくとも月次単位で把握できる状況になっており、その状況に応じたアクションを素早くとり、組織業績目標の達成や工事利益の確保を実施しています。海外拠点では、その判断の手助けになるデータの把握が難しいため、必要に応じて現地スタッフに都度確認する必要があります。

現地の業務処理統制が難しい

海外複数拠点に展開している場合、各拠点で業務プロセスがバラバラで、日本側が期待した管理レベルで業務遂行されない場合があります。特に業務における承認プロセス(意思決定責任)、計画値の策定、予実対比による業務報告など、国内では普通に行われているプロセスでも、現地スタッフが必要性を理解し、徹底してもらうのは難しく、各拠点で属人化したプロセスで業務遂行されてしまうという課題があります。

国内との報告・管理方法の違い

海外拠点から報告される内容おいて、本社側が期待されるレベル・単位で上がってこないという課題があります。例えば、日本では、完工高とともに受注高、受注残高など、財務報告には必要ないが、業績管理において非常に重要な数値も管理しています。海外拠点からは財務報告のみ上がってくる場合、これらの数値が把握できないという問題が発生します。また、進行基準工事における進捗率の計算についても、決まったルールがなく、現地の工事長の判断で進捗率が報告されるといったこともあります。

通貨・税制・会計制度の問題

複数拠点にまたがっている場合、複数通貨での取引がされており、集計の際に拠点の通貨で換算が必要で、また日本本社との連結時に日本円での換算も必要になります。為替レートを意識した業績の把握や着地予想は、海外展開している企業において非常に重要なテーマです。

また、税制、会計制度も各国で異なるため、横軸での評価が困難で、日本と連結する場合にも日本の勘定科目にマッピングが必要となり、会計報告のための集計業務の負担も大きくなります。

文化・言語の問題

現地スタッフと日本側のスタッフとの会計業務におけるやり取りで、文化、言語の違いでコミュニケーションが円滑にいかない場合が多いです。日本人どうしのやり取りであれば、電話で5分で済む話も、現地スタッフとのメールおよび電話のやり取りで1時間ないし2時間、時差がある場合には翌日になってしまうということもしばしばです。

また、業績管理においても、日本側スタッフは日本語で確認したいが、現地スタッフは現地語で業務を進めたいというジレンマがあります。

システム展開の問題

上記の問題をシステムによって統制・管理するということは非常に有効な手段ですが、システム面においても課題があります。海外拠点にシステムを導入する方法として、これまでは現地ベンダーからの調達、日本本社システムを海外に展開するといった方法がありました。

現地ベンダーから調達する場合は、各拠点でバラバラのシステムになり、現地スタッフは使いやすくても、日本側からの統制面、集計作業などに時間を要するといった課題がありました。また日本のベンダーほど手厚いサポートがないという課題があります。日本本社システムを海外に展開する場合は、ビジネス規模の違いにより現地業務にフィットしない、現地スタッフが使いこなせないといった課題がありました。

またシステム化する場合に限られた予算で展開する必要があるといった制約事項がある場合も多いです。

クラウドERPがこれらの課題を解決します

昨今、クラウドERPが、国内、海外ベンダーともに、続々とサービスをリリースしています。それでは、上記で挙げたような課題をなぜクラウドERPが解決できるのでしょうか?

クラウドERPとは?

まずクラウドERPとは、クラウド環境に構築されたERPサービスで、インターネットを通じてアクセスが可能で、基幹業務におけるデータ入力・管理が可能です。オンプレミス型ERPと比較し、ハードウェアやその構築費用が含まれて提供されるため、圧倒的な低コストで導入が可能です。また、インターネット環境がある海外拠点に対してスムーズに導入が可能です。

クラウドERPによって解決される問題

まず、当社が海外展開時におすすめするのは、グローバルに展開しているクラウドERPサービスです。理由は、グローバル展開する企業を前提に設計された機能が豊富だからです。例えば、グローバルで複数拠点に展開することを前提として、複数言語、マルチ通貨、主要国税制対応、会計制度に対応しています。

また、インターネットがあれば、引合い、見積りから、受発注、完工高、工事原価、工事(プロジェクト)データ、債権債務データ、財務データまで必要な単位で管理が可能になります。同じプラットフォームを利用することで複数拠点にテンプレートとして展開が可能です。それにより、現地拠点の統制を高めることが可能です。各拠点からの報告フォーマットも統一され、日本側での連結・集計業務の効率化も可能です。

現地業務のサポートだけでなく、日本側からインターネットを通じてリアルタイムでデータ参照が可能なため、業績把握が難しかった、海外拠点の進捗状況などをモニタリングし、アクションをとることが可能になります。

クラウドERP導入に必要なこと

一方で、クラウドERPサービスを購入すれば、すべてが解決するわけではありません。通常のERP導入同様、導入のためのプロジェクトを成功させて初めてクラウドERP導入効果が得られます。

これまでの経験から、ERP導入プロジェクトについては国内企業への導入でも難しい場合が多いです。理由は、導入にあたり経理・財務部門を中心に、営業部門、工事長、工事管理部門、購買部門、経営層などステークホルダーが多岐にわたり、それぞれの要件を整理、調整しながらコストとスケジュールを意識してプロジェクトを遂行していく必要があるためです。

海外拠点への導入の場合、ステークホルダーとして現地スタッフがかかわってきますので、導入プロジェクトは非常に困難な作業になります。ERP導入の進め方、導入するクラウドERP製品の特性、現地スタッフとのコミュニケーションなど成功させるために必要な要素が多いため、外部パートナーとうまく連携しながらクラウドERP導入プロジェクトを成功させ、導入効果を発揮していくことが重要になります。

まとめ

いかがでしたでしょうか?建設業が海外展開する際の課題解決の一つとしてクラウドERPを提案させていただきました。クラウドERP導入は課題解決の1つの手段になります。まずは海外展開における業務課題を整理したうえで、その解決する方法としてクラウドERP導入を検討してみてはいかがでしょうか?

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