ドローン

ドローンとは何か?

ドローンという言葉は、ここ数年で急速に聞かれるようになりました。2010年に「AR Drone」が市場に投入されてから、ドローンの普及は急速に進み、現在ではさまざまな用途に活用されています。

今回は「ドローンとは何か?」をテーマとして、ドローンの定義や利用目的、メリットや飛行させる場合の注意点を解説していきます。ドローンの導入をご検討の方は、ぜひ参考にしてください。

ドローンとは何か?

ドローンは小型かつ無人の航空機です。実用化されている製品の多くは複数のプロペラを持ち、虫に似た形をしています。また操縦する際の資格は不要ですが、うまく飛行させるには経験が必要です。

無人で小型の航空機

ドローンは小型の航空機ですが、サイズは製品によりさまざまです。なかには1mを超える幅を持つドローンもあります。一方でプロペラの枚数は、4枚から8枚が多くなっています。安定して飛行するために、隣り合うプロペラは逆回転に回ることが特徴です。

ドローンの前方には、カメラもついている場合が多いです。このカメラは撮影目的で使わない場合であっても位置の把握や姿勢の保持を行い、正しく飛行するために役立っています。

ドローンは、モーターやで動くことも特徴の1つです。電力は、専用のリチウムポリマー電池から供給されます。リチウムイオン電池はスマートフォンやノートパソコンでも使われていますが、取り扱いには注意が必要です。

重さによって2種類に分けられる

ドローンは小型の機種が主体です。また法令では200gを境にして、以下の2種類に分けられています。無人航空機と模型航空機では、重量のある無人航空機の規制がより厳しくなっています。

  • 無人航空機(機体とバッテリーの重量が200g以上のもの)
  • 模型航空機(機体とバッテリーの重量が200g未満のもの)

業務用で使われるほとんどのドローンは、無人航空機に該当します。また重さが10kgを超えるドローンも珍しくありません。

誰でも操縦できるが、資格がある

最近のドローンは、スマートフォンで操作できる機種が多くなっています。また操縦において免許は不要です。

但し姿勢を保たせながら操縦するためには訓練が必要ですから、誰でもすぐに操縦できるわけではありません。そのため、複数の民間団体が講習や資格制度を設けています。

ドローンの利用目的や、今後期待される用途

ドローンの利用目的や用途は、急速に広がっています。主な用途には、以下のものがあげられます。

  • 空撮用(人が入ることが困難な地域の撮影など)
  • 土木・測量
  • 農業用(農薬の散布や、生育状況の確認など)、害獣対策
  • 物流(宅配便の輸送など)
  • 設備管理(橋やトンネルなどの点検を行い、不具合箇所を把握する)
  • 警備用(施設警備や犯人の追跡、急病人対応など)

ドローンを使うメリット

ドローンが使われる理由やメリットには、さまざまなものがあります。ここではドローンを使う主なメリットについて、解説していきます。

人間が行くと移動に時間がかかる場合でも、作業を迅速に行える

ドローンは産業用として、人間が行くと移動に時間がかかる場所でも迅速に作業が行えるメリットがあります。たとえば橋やダム、トンネルや太陽光パネルの点検があげられます。特に橋桁の下などは人手で点検しにくい場所ですが、ドローンならば簡単に撮影できます。

ドローンは空撮にも使われます。人が入りにくい山間部の撮影のほか、人件費をかけずにいろいろな場所の撮影をしたい場合にも有効です。

また、異常事態が発生した場合に状況を把握する手段としての利用も考えられます。たとえば登山者の遭難が発生した場合に、まずドローンを現地に向かわせて迅速に状況を把握するといった方法です。この方法は、2017年に東京都山岳連盟から非常に有効であるという報告書が公開されています。

測量では、安価かつ短時間で高品質な作業ができる

大規模な土木工事には測量が不可欠ですが、ドローンならば安価かつ短時間で、高品質な測量を行えます。上空を飛行しながら3次元のデータを取得するため、短時間で作業が完了し、精度の高いデータとして使えます。また測量した結果は、3D画像として保存することも可能です。

宅配や警備などでは、人件費などの費用が節約できる

宅配など物を運ぶケースでは、ドローンを使うことによって人件費などの費用が節約できる場合があります。もし車で運ぶ場合は道路に沿って通行しなければならず時間がかかり、燃料費も必要です。特に山間部では、道路が通行止めになると配送できません。

一方でドローンの場合は、目的地まで一直線で運べることが特徴です。このため輸送時間の短縮はもちろん、人件費の削減も見込めます。特に住宅が点在する中山間地域において、ドローンは効果を発揮することが期待されます。

またドローンは、人手をかけずに効果的な警備を行うためにも役立ちます。施設警備では、建物内をドローンで巡回させることが可能です。ドローンは人が走るよりも速く現場に到着できるため、不審者や急病人が出た際に状況を迅速に把握することができます。

農作業や害獣対策にも有効

ドローンは、農作業を安全かつ効率的に進める上でも有効です。このうち農薬散布用のドローンは、無人ヘリコプターと比べて低価格できめ細かな散布を行えるため、人体への影響を低減できることがメリットです。

一方で、画像分析用のドローンも発売されています。利用目的は農場の管理であり、生育や雑草、病害虫などの状況をすばやくチェックすることが可能です。これにより追肥や農薬の散布、除草などをピンポイントで行うことができる点もメリットの1つです。

またドローンのなかには、害獣が田畑などに近づくと超音波を発して撃退するものもあります。この点で、ドローンは害獣対策にも有効です。

ドローンの飛行には条件がある

ドローンには多くのメリットがあるため、さまざまな用途で使われることが期待できます。一方で、どこでも飛行できるわけではありません。法令やドローンの特性により、以下にあげる制約があります。

許可無しで飛ばせる場所は限られる

ドローンは、どこでも飛行できるわけではありません。以下の場所で飛行させるには、事前の許可が必要です。

  • 国会議事堂などの国の重要施設や、原子力発電所の上空(原則として飛行禁止)
  • 空港周辺の指定された地域
  • 住宅密集地
  • 公園や河川・海岸(自治体によって禁止している場合が多い)
  • 公道(ドローンの離着陸を公道で行うと、道路交通法違反)
  • 私有地の上空(地権者の許可が必要)

このように、許可を取らなくてもドローンを飛ばせる場所は限られています。そのため、事前に出発地から目的地までのすべての経路で飛行が可能かどうか、あらかじめチェックする必要があります。

また許可が必要な場合は、早めの申請が必要です。一例として国土交通大臣の許可を受ける場合は、遅くとも飛行させる10営業日前までに地方航空局または空港事務所に申請する必要があります。

操縦方法によっては、事前の許可が必要な場合もある

事前の許可を得ずにドローンを飛行させる場合、操縦は日の出から日没までの間、ドローンを直接見ながら行う方法に限られます。スマートフォンやタブレットの映像を見ながら操縦する場合は、事前に国土交通大臣の許可が必要です。また高度150m以上を飛行する場合や、物を投下する場合、夜間に飛行する場合も同様です。

許可を受けるためには10時間以上の飛行経歴が必要など、いくつかの要件があります。従って「ドローンを買ってきた。さあ外で飛ばそう」というわけには、なかなかいかないことが現実です。

屋外で練習をする際には、事前に飛行可能な施設を探しておくことが必要です。また各地で開催されているドローンの講習会を活用することも、有効な1つの方法です。利用する際は、国土交通大臣の認可があるか確認しましょう。

ドローンは雨や風に弱い

ドローンは風に弱いことが大きな弱点です。これはプロペラを使っていることと、旅客機よりも小型で低速であることが原因です。たとえば最高時速40kmのドローンは秒速に直すと11mの速さでしかなく、少し強い風でも飛行が困難となります。このような風は、決して珍しいことではありません。このため、風速5m/s以上の場合は飛行させないことが一般的です。

またドローンは精密機器であるため、雨に弱いことが特徴です。このためドローンの飛行は、穏やかな天候の日を選んで行う必要があります。

まとめ

ここまで、ドローンについてさまざまな観点から解説してきました。ドローンはさまざまな用途での利用が期待されている機器であり、うまく使うと生活や事業におおいに役立ちます。

その一方でどこでも飛行できるわけではなく、またスムーズに飛行させるためには練習が必要です。従ってドローンを飛行させるためには、事前の十分な検討が必要です。

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