ドローン

安全にドローンを飛行させるためのポイント

いま注目の機器の1つに、ドローンがあります。ドローンは人が入りにくい山間部での撮影や農薬の散布、建造物のチェックなどに利用できる、大変便利な機器です。その一方で墜落や衝突により人や建物に損害を与えたり、電池が発火するなどのリスクもあります。このためドローンを飛行させるためには、安全確保がすべての基本です。

ここでは安全にドローンを飛行させるためのポイントについて、ドローンの特性を踏まえながら解説していきます。ドローンの導入を考えている企業のかたは、ぜひ参考にしてください。

まずはドローンの特性を知ろう

安全にドローンを飛行させるには、ドローンの特徴を把握することが重要です。本記事の最初の項目では、ドローンの特性について解説します。

雨や風に弱い

ドローンは精密機器であるため、雨に濡れると故障しやすいことが弱点です。一部には雨のなかでも飛行できるドローンもありますが、種類は多くありません。

またドローンは軽量かつ飛行速度が遅いため、風に弱いことも特徴です。たとえば時速40kmは風速11m/s以上の風と同じですから、多少強い程度の風でも前に進めなくなったり、バランスを崩してしまう原因となります。

このため、ドローンは穏やかな天候の日を選んで飛行させることになります。できれば雨や雪、雷などのリスクがなく、風速が5m/s以下の状況で飛行させることをおすすめします。

わずかな衝撃でも簡単に動く

飛行中のドローンは、わずかな衝撃で動きやすいことも特徴の1つです。これは床や地面の上にある場合と比べると、よくわかります。

床や地面にあるドローンは摩擦力により、少々の風が吹いたくらいでは動きません。一方で飛行中は床や地面と接していませんから、ドローンはわずかな力を受けただけで簡単に動いてしまいます。このためドローンを動かすこと自体は簡単でも、思い通りの方向に動かしたりその場にとどめておくことについては、一定の技術が必要です。

リチウムイオン電池で動く機器が多いため、電池の管理には要注意

多くのドローンは、リチウムイオン電池で動きます。リチウムイオン電池はスマートフォンやノートパソコンなどでも使われている一般的な電池ですが、衝撃や過充電などにより発火・発煙のリスクがあります。このため取扱説明書の記載に従い、注意して使いましょう。

また10℃以下の低温ではリチウムイオン電池の性能が下がるため、冬季はカイロやバッテリーヒーターなどで温める工夫も必要です。

練習を重ねて操縦の技術を磨く

ドローンの操縦において、公的な資格は必須となっていません。一方でドローンをうまく飛行させるためには、練習が必要です。特に飛行させる場所によっては、10時間以上の操縦実績が求められる場合もあります。このためドローンを操縦したい場合は、練習を重ねて技術を磨くことが必要です。

まずは軽量のドローンを使って、屋内で練習を

初めてドローンを操縦するかたは200g未満のトイドローンを使い、屋内での練習から始めるとよいでしょう。屋内は強い風が吹かず空気も安定しているため、初心者の練習に適した環境です。

ドローンを思い通りに操縦するためには、空中で静止する「ホバリング」や前後左右への移動、8の字飛行などの回転技術を身につける必要があります。詳しい練習方法は、ドローンの練習書などをご参照ください。

慣れてきたら、屋外のドローン練習場も利用可

屋内でスムーズにドローンを操縦できるようになったら、練習場所を屋外のドローン練習場に移し、技量のアップに努めましょう。気象条件の影響を受けやすい屋外で練習することで、より実践的な練習が可能です。ドローン練習場は全国各地にありますから、最新の情報はWebサイトでご確認ください。

屋外で安全に飛行させるためのポイント

ドローンを操縦する技術が向上すると、屋外で自由にドローンを飛ばしたいと思うものです。しかし日本ではドローンの飛行について、さまざまな制約があります。ここでは飛行できる場所と飛行する上での注意点について、それぞれ解説していきます。

法令で飛行が制限されているエリアは多い

ドローンは国の法令や自治体の条例などで、飛行が制限されているエリアが多くなっています。例えば、国会議事堂や原子力発電所の上空を飛行することは禁止されています。また以下の箇所を飛行する場合は、事前に許可を取ることが必要です。

  • 高度150m以上を飛行する場合
  • 人口集中地区(都道府県庁所在地や東京湾、大阪湾周辺など。国土地理院の「地理院地図」サイトで確認できる)
  • 空港周辺
  • 河川やダム、公園などで、自治体などの管理者がドローンの飛行を禁止または制限している場合
  • 私有地(飛行するためには、地権者の許可が必要)

このためドローンを問題なく飛行できる箇所は、限られることが実情です。

周囲の状況に注意して操縦し、補助者をつけることをおすすめ

屋外でドローンを飛行させることには、以下のようなリスクがあります。

  • 他人の所有地に誤って侵入してしまう
  • ドローンどうしの接触や、他人の家や公共物などに接触・衝突する
  • 人にぶつかってけがなどを負わせる

このため、操縦においては周囲の状況に注意することが重要です。国土交通省のガイドラインでは、原則として操縦関係者以外の人や建物や車両との間に30メートル以上の距離を保つことを定めています。イベント会場などでこの距離が保てない場合は、事前に地方航空局長の承認が必要です。

また以下の場合も、地方航空局長の承認を要します。

  • 夜間の飛行をしたい場合
  • モニターを見ながら操縦したい場合
  • 農薬など、ドローンから物を投下する場合

操縦の際には、できるだけ補助者をつけるとよいでしょう。特に国土交通省の承認を必要とするケースでは、補助者がいないと飛行の承認がされないケースも多いです。

また飛行中に、他のドローンが接近するケースもあります。気がついたら至近距離に迫っていたということのないよう、操縦中はドローンなどの飛行物体が接近してこないか、常に監視が必要です。

安全にドローンを飛行させるには、準備も重要

安全にドローンを飛行させるためには、日常のメンテナンスや当日に向けての準備も重要です。ここではドローンを安全に飛行させるために必要な、4つの項目を解説していきます。

飛行前のチェックは入念に行う

安全にドローンを飛行させるためには、機体に不具合がないことが大前提となります。このため、飛行前には以下のチェックが必須です。

  • フレームやプロペラ、バッテリーなど、各部品にゆがみや破損がないこと
  • モーターがスムーズに回転すること
  • バッテリー残量に問題がなく、電源が入ること
  • モニターの表示や飛行動作に異常がないこと

操縦者自身の体調管理も万全に

ドローンの操縦は車の運転と異なり、自分自身がドローンに乗っているわけではありません。しかし一瞬の判断ミスが事故につながり、人や物に被害を及ぼす可能性があることには変わりありません。

このため安全にドローンを飛行させるためには、操縦者自身の体調も万全であることが必要です。体調がすぐれない場合は、操縦しないようにしましょう。また車と同じく、飲酒した後の操縦は判断能力が鈍るためやめましょう。

気象情報の収集は万全に

ドローンは、気象条件の影響を受けやすい物体です。安全な飛行を行うためにも予定時刻の天気はもちろん、風速や風向、気温も必ず確認しましょう。もしドローンの飛行に適さない天候であれば、飛行中止を決断することも安全確保のためには重要です。

保険をかけておこう

ドローンはどれだけ注意して操縦しても、事故を起こす可能性はあります。現在ではドローン保険という商品がありますから、万が一に備えて契約するとおすすめであり、突然の高額な出費を防げます。

ドローン保険には大きく分けて、以下の2つの機能があります。どちらも兼ね備える保険に加入することがおすすめです。

  • 第三者への損害賠償(ドローンが原因でけがをさせたり、家や物などに損害を与えた場合の賠償金や訴訟費用など)
  • 機体に関わる補償(機体保険:機体の修理費だけでなく、捜索費用や片づけ費用など)

まとめ

いかがでしたでしょうか?ドローンは免許こそ不要なものの、安全に飛行させるためには一定の技術が必要です。このため、誰でもすぐに操縦できるものではありません。また自社でドローンを飛行させる体制を整えるには技術者の育成だけでなく、飛行できる区域など法令をよく確認する必要があります。従って、ドローンの導入には一定のコストが必要です。

このため不定期にドローンを飛行させる場合や、安全対策に万全を期したい場合は、ドローン専門の企業が運営するサービスの利用がおすすめです。これらの企業はドローンについての専門家ですから経験豊富であり、安全に配慮した飛行を行います。もちろん法令に従い、必要な手続きも行いますから安心です。もしドローンを使いたいと考える場合は安全な飛行のためにも、ドローン専門企業のサービスを利用することをご検討ください。

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