Dynamics 365

顧客の成功を後押しする「カスタマーサクセス」。Dynamics 365などを用いて実現するには

ITを活用し顧客満足をつなげる取り組みは、すっかり主流となりました。最近ではこれを一歩進めて、顧客の成功を後押しする「カスタマーサクセス」も注目されています。顧客とサービスを提供する企業の両方がWin-Winの関係を得られる点で、注目すべきキーワードといえるでしょう。

カスタマーサクセスを成功させるためには本質を理解し、正しく実現することが重要です。本記事ではサービスを提供する企業に向けて、カスタマーサクセスのポイントと重要性、実現方法を解説します。またDynamics 365など、Microsoft社製品の有用性についても触れていきます。

そもそも、カスタマーサクセスとはなにか?

まずは注目されているキーワード「カスタマーサクセス」について3つの観点から解説し、内容を確認していきましょう。

顧客の成功を支援する取り組み

カスタマーサクセスとは、顧客の成功を支援する取り組みを指します。提供した製品やサービスを用いて、顧客が目指すビジネスを成功させ、売上と利益の向上に結びつけることが主な目的です。

目先の問題を解決するだけでなく、ビジネスを成功させるための課題解決に貢献する役割を担うことが特徴です。これにより、サービスを提供した企業も利益を得られるメリットが期待できます。

カスタマーサポートとの相違点

カスタマーサクセスと類似した用語に、「カスタマーサポート」があります。両者とも顧客対応を行う業務ですが、顧客との関わり方について大きな違いがあります。

カスタマーサポートの対応は、受動的かつ断片的です。対応を行う機会は、顧客が問い合わせたタイミングに限られます。問い合わせがない場合は問題がないとみなし、わざわざカスタマーサポートからアプローチを行うことは通常ありません。また対応内容は、顧客が直面しているトラブルや不便の解消が主体です。問題が解決すれば一連の問い合わせもクローズするため、全体を俯瞰した解決方法を考えるにはなかなか至らないケースも多いです。

一方でカスタマーサクセスは、能動的かつ包括的な取り組みです。カスタマーサポートのように、「提供した製品やサービスが滞りなく使えればOK」というわけにはいきません。ビジネスの成功に結びつける必要があります。利用状況などさまざまな指標をチェックした上で、顧客からアプローチがない段階でも、カスタマーサクセス部門からアプローチを実施しアドバイスを行います。ときにはより良い活用方法や他社の事例を紹介し、さらなる活用や上位プランの利用を促す場合もあります。

Win-Winの姿勢が大切

カスタマーサクセスの実行により、貴社と顧客それぞれにWin-Winの関係を構築できます。代表的なメリットには、以下の項目が挙げられます。

  • 貴社:継続的な利用やアップセル、クロスセルにより、収入を増やせるチャンスが得られる
  • 顧客:顧客生涯価値(LTV)が上昇し、増収増益につながる

アップセルとは「より上位のサービスメニューを選択すること」、クロスセルとは「他のサービスも利用してもらえること」を示します。また顧客生涯価値(LTV)とは、顧客が貴社に支払った総額です。貴社のサービスが多く使われるとLTVも高まるため、数字が上昇するよう目指します。

またカスタマーサクセス部門の収入は、保守料にとどまりません。顧客へのアドバイスやコンサルティング次第で、アップセルなどの増収を勝ち取れる可能性もあります。このためカスタマーサクセス部門は、利益につながる部門として扱う企業も少なくありません。

いわば「貴社は顧客に売上が上がるサービスを提供し、顧客は売上と利益の増大を実現させ、貴社はサービスの代金を受け取る」といった構図となるわけです。両者にとってベストな状況を作り出すことが可能。カスタマーサクセスは、より良い企業経営を実現する上で重要です。

なぜカスタマーサクセスは注目されているのか

カスタマーサクセスが注目されるようになった背景には、以下の変化が挙げられます。

  • 製品の所有から、利用するサービスへの変化(サブスクリプションモデルの普及)
  • インターネットやSNSの普及により、個人でも気軽に情報発信ができるようになった
  • 企業やブランドのファンを増やすことが、より重要視されている

かつては「売ってしまえば終わり」といった、売り切り型のビジネスが主流でした。とにかく売ってしまえば、売上が減ることはありません。一方で利用するサービスでは、契約後もサービスの内容が悪いと解約されてしまいます。このため継続したサービスの向上が求められます。

加えて個人でも情報発信が行えるようになったため、評判は良いものも悪いものも瞬時に伝わります。企業が成功するためには、できるだけ良い評判を広く伝えていただくことが重要となります。企業やブランドのファンが増えることで、ファンが自ら良い情報を宣伝し、業績アップに貢献できます。

カスタマーサクセスは「未来の売上を作る」という観点でも、重要なポイントといえるでしょう。顧客体験の向上は、重要な取り組みの1つに挙げられます。

カスタマーサクセスを実現する5つのポイント

ここからはカスタマーサクセスをどう実現すればよいか、ポイントを5つに分け解説します。

① 顧客の現状と、「成功した状態」の内容を理解する

顧客の成功を支援する第一歩は現状を正しく認識することに加えて、「何をもって成功とするか」という点の相互理解が重要です。顧客としっかり話し合い、現状と成功した状態を共有しましょう。このポイントをしっかり理解することは、正しい目標設定と実行方法の策定、ツールやサービスの適切な選択につながります。

もっとも、顧客自身がどうすればよいかわからないケースも少なくありません。その場合はていねいにヒアリングし、解決策を提示することも求められます。

② 目標を定め、実行する方法を決める

現状認識と成功した状態のイメージができたら、それに向かうための目標と、実行する方法を決めます。成功事例を参考にすることはおおいに役立ちますが、それだけにとらわれず、顧客に最適な手法を選ぶことが重要です。

また目標によっては、現状からかなり努力しなければ達成できない場合もあります。その場合は中間目標をいくつか設定し、段階に応じて適切な手法を考えることも良い方法です。

③ 適切なツールやサービスを選定し、提供する

カスタマーサクセスの実現にはMAやCRMなど、さまざまなツールやサービスが活用できます。これらは、目標や方法によって決めることが重要。貴社のサービスが最適であればベストですが、そうでない場合は工夫が必要です。提携する他社のサービスと組み合わせることは、1つの方法です。

特に明らかに向いていないとわかっているサービスを無理して勧めると、顧客の不満につながりかねません。この場合は、他社のサービスを案内することも選択肢。利益よりも顧客の信頼を勝ち取ることは、長い目で見ると御社のためになります。

④ チェックすべき指標を洗い出す

カスタマーサクセスの実現には、定期的な評価も重要です。業務の成果をチェックする指標を事前に洗い出し、評価に活用することが欠かせません。代表的な指標には、以下のものが挙げられます。

  • LTV
  • NPS( Net Promoter Score のこと。9・10の評価を付けた数から、6以下の評価を付けた数を差し引いた値)
  • 継続率、解約率
  • アップセル率、クロスセル率
  • オンボーディング完了率(サービスを使い始めた顧客のなかから、実運用を開始した顧客の割合を指す)

業種によっては、これ以外の指標が用いられる場合もあります。正しい戦略は、現状を正しく認識することから始まります。面倒でも指標と評価基準をしっかり設定し、業務に活かしましょう。

⑤ 顧客との連絡を密に取る。また組織を超えた連携を確立する

カスタマーサクセスは、顧客との二人三脚。サービスの提供後も、こまめに顧客をサポートすることが重要です。業績拡大に貢献できる情報は、積極的に共有しましょう。

加えて、顧客を強力にバックアップする体制づくりも必要です。必要ならば、組織を超えた連携も積極的に行いましょう。より良いサポートを提供することは、双方の売上や利益のアップにつながります。

カスタマーサクセスは、Dynamics 365などで実現可能

カスタマーサクセスを実現できるサービスは多数ありますが、Microsoft社の製品を活用することも選択肢の1つです。利用できる代表的な製品を、以下に挙げました。

  • Dynamics 365 Customer Engagement
  • Teams
  • Power BI
  • Power Automate

Customer ServiceやMarketing、Power Appsなどの製品が含まれます。業務の実行はもちろん、コミュニケーションから業務分析、自動化も可能。多くの顧客の要望にお応えすることが可能です。

カスタマーサクセスにより顧客の成功、業績のアップと顧客満足度の向上を実現できる

受け身の「カスタマーサポート」を攻めの「カスタマーサクセス」に変えることで、貴社も顧客も収益をアップさせることができます。もちろん、ビジネスの成功にもつながるもの。良いことずくめの方法ですからぜひ取り入れ、業績のアップと顧客満足度の向上につなげましょう。

カスタマーサポートは、Microsoft製品の活用する事でより広く、より効果的に実現できると考えます。まずは顧客の要望に耳を傾けましょう。適切なサービスの選択が、成功への近道だと考えます。

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