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デジタルトランスフォーメーションのポイント

デジタルトランスフォーメーション(DX)は、近年急速に広まっている「顧客ごとにカスタマイズされたサービス」を提供する上で欠かせないものとなっています。顧客に役立つサービスを迅速に提供するという点において、DXにはITシステムが欠かせません。
今回はDXに用いられるITシステムについて、発注企業のみなさまが意識していただきたいポイントを解説します。

DXを踏まえたシステムに求められるポイント

DXを実行する際には、これまでとは異なるシステムが求められます。ここでは4つの項目を取り上げ、システムに求められるポイントを解説していきます。

多様な顧客ニーズに対して的確に対応し続ける

ビッグデータやAI、IoTなどの活用により、企業はこれまでよりもはるかに細分化された顧客データを入手できるようになりました。同時にこのことは、顧客に対して「かゆい所に手が届く」サービスを提供することが可能となり、またその必要に迫られていることを意味します。

企業は競争のなかにありますから、他社が魅力的なサービスを提供すれば、御社のサービスは選ばれにくくなってしまいます。このためどの企業も顧客の属性や状況にあわせて、的確なサービスを提供する必要があります。また顧客のニーズは常に変化していますから、サービス内容も随時見直し、変化に対して速やかに対応することが求められます。

これらのサービスは、単に顧客のニーズにマッチするだけでは利益に十分寄与しないことが多いです。他社よりも早く提供することでシェアを拡大し、利益の向上に寄与することが可能です。

ビジネスのスピードに対応できる

近年はビジネスにおけるスピードが加速しており、経営においても例外ではありません。またDXを活用したビジネスにおいては、顧客の変化に対して企業も柔軟な変化と対応が求められます。

従ってDXを踏まえたシステム開発では、短期間での開発が求められます。開発に時間がかかると競合に先を越され、ビジネスチャンスを逃すことにつながりかねません。

必要なシステムを低コストでつくる

顧客ニーズに応えるためにはさまざまなシステムをつくる必要がありますが、一方で企業の予算には限りがあります。しかし多くのシステムにおいては、機能は精選できても品質を落とすことはできません。このためDXを踏まえたシステム開発では短期間で開発するだけでなく、低いコストで質の高いシステムを構築する必要があります。

柔軟に修正や機能追加ができる

DXにより、企業はこれまでよりも多彩なサービスを提供できるようになります。特にビッグデータやAIなどの活用により、1つのシステムで利用者ごとに異なるサービスを提供することも可能となっています。このようなシステムでは、変化し続ける顧客ニーズや事業環境の変化に対して、速やかに対応することが求められます。

従ってDXを踏まえたシステムでは顧客ニーズなどの変化にこたえるため、柔軟に修正や機能追加ができる仕組みが必須です。求められるサービスは時々刻々と変わりますから、以前のように数年ごとの大規模更新で対応していると、ビジネスチャンスを逃しかねません。

これまでのシステム開発と、DXにおける開発との違い

これまでのシステム開発は、ウォーターフォール型開発が一般的でした。一方、DXにおける開発はスピード感のある対応が求められるため、アジャイル型開発など新しい開発手法が採用されることになります。どのような違いがあるか、2つのポイントについて解説します。

試作品(モックアップ)を作りながら、仕様の修正を続ける

「百聞は一見にしかず」ということわざもある通り、どれだけ打ち合わせを重ねて文書で仕様を確定しても、試作品で動きを確認することにはかなわない面があります。このためDXにおける開発では、アジャイル型開発がよく用いられます。これはモックアップと呼ばれる試作品を確認することで、「実際にはこのような動作をする」という点をチェックしながら仕様を確定できる点がメリットです。

そもそも試作品がない状態で仕様を固めることは、現状のシステムをベースにして考えない限りは難しいものです。お互いにモックアップで動作を確認することでイメージのブレを防ぎ、納得いく成果物に仕上げることが可能です。また必要に応じて、納得いくまでモックアップの作成と仕様の修正を続けられる点も、メリットの1つです。

短期間かつ低コストでの開発

DXにおける開発は数週間から3ヶ月程度といった、短い期間を1つの単位として行われることが多いです。このため従来型のウォーターフォール型開発と異なり、顧客の要望の変化に対して速やかに対応できる点がメリットです。

また開発期間が短くなるため、クラウドなど既存の製品やサービスを使うケースも多くなるでしょう。このため、コストも下がることになります。DXは短期間で開発するメリットをうまく活用することで、発注企業にもメリットが得られます。

DXをうまく実践するためのポイント

DXをうまく実践するためには、発注企業においてもいくつか心得ておきたいポイントがあります。これらは従来のシステム開発手法と大きく異なります。そのためシステム会社にお任せではなく、発注者側が主体的に対応することが必要です。

事業の施策に優先順位をつける

DXにおける開発は、短期間での開発を積み重ねたものです。1つの開発期間で実装できる機能は限られますから、どの機能から実装するか、優先順位をつけることが必須となります。

開発の優先順位は、原則としてビジネス上での優先順位となります。このため事業戦略を立てる際にはどの施策から進めるか、順位づけをしっかり行うことが必要です。また順位づけは、システムを使う発注元企業が主体的に関与することが必須ですから、発注先のシステム会社に丸投げではいけません。システム会社のアドバイスを受けることは重要ですが、最終決定は自社にて行うことが求められます。

手づくりのシステム(スクラッチ開発)にこだわらない

DXを活用したビジネスでは、サービスをできるだけ早く現場に投入することが優先されます。スピード感を持った開発が必要となりますから、スクラッチ開発にこだわらず、すでにある製品やサービスを積極的に活用することが重要です。開発するプログラムの数を最小限に抑えることで開発期間もコストも短くなり、品質も確保できます。

スクラッチ開発は業務にフィットした、他社にないシステムという点はメリットです。一方で、開発期間が長くなるデメリットもあります。同じようなサービスは競合他社も考えるものですから、スクラッチ開発にこだわっていてはサービス開始が遅れ、ビジネスチャンスを逃しかねません。

この点では仕様の確定方法も「書面ですべてを決める」という考え方から、「モックアップで動作させながら要件を整理し、優先順位を決める」という考え方に改めることが必要です。

適正な価格で発注する

IT業界では、エンジニアの不足が深刻化しています。優秀な技術者はプロジェクト間での取り合いとなっているほか、採算の取れない企業からはエンジニアが撤退する事態も起きています。このような状況下では、契約してしまえば機能を青天井で追加できるという考えはもはや通用しません。

発注企業は開発に携わるエンジニアを選べませんから、採算性の低いプロジェクトには低いレベルのエンジニアしか割り当てないという事態も起こり得ます。今後の事業運営を左右する大切なシステムですから、質の高い納品物を作ってもらうためにも、適正な価格で発注するようにしましょう。

必要な機能だけを実装する

機能追加が短期間かつ簡単にできるのであれば、開発の初期段階で「とりあえず入れておいて」などというように、あらゆる場面を想定した実装を行う必要はありません。必要な機能だけを実装することで開発期間の短縮ができ、スピード感のあるビジネスに寄与できます。

これに加えて、すべてをシステム化しないという判断も選択肢の1つです。もし予算がない場合は値引きを迫るのではなく、優先度の高い機能に絞ってシステム化しましょう。このことにより、以下のメリットが得られます。

  • 質の高いシステムの納品につなげることができる
  • 運用コストが減り、ランニングコストの負担が軽くなる
  • 自社のシステムの仕様がわからなくなる「システムのブラックボックス化」を防げる

また稀にしか使わない機能ならば、システム化するほうが高価となる場合もあります。このような機能は、その一部または全部をシステム化しないという判断をすることも、費用対効果を高めるためには重要です。

まとめ

いかがでしたでしょうか?DXが活用される社会では、多様化する顧客ニーズに対してスピード感のある対応をしなければなりません。このため短期間かつ低コストでの開発が行われますが、成功のためには発注企業の協力が不可欠です。何でもシステム化したいという要望は開発期間の長期化とコスト増を招き、御社の競争力を奪いかねません。

このため発注企業においても必要な機能を精選してシステム化の優先順位をつけ、当事者として積極的にプロジェクトに関わることが成功への道となります。

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