Dynamics 365

プロジェクトにおけるリソースの管理方法

システムインテグレーター、広告、建設業、ITベンチャー企業などプロジェクトを中心にビジネスを展開している企業(以下プロジェクト型企業)で、最近特に問合せが多くなっている、リソース管理について解説していきます。昨今、働き方改革によってプロジェクトでの作業時間を適正化する、無理な残業をさせないなど、人の作業時間の管理の必要性が高まっており、それらを適切に管理する手法やツールを探されているというお客様が増えております。
プロジェクト型企業にとってリソース管理が重要な理由は、プロジェクトそのものの品質がお客様の満足度に直結し、プロジェクト品質を形成しているのはまさに人、リソースだからです。
サービス提供するタイミングで適切なスキルセットの人をプロジェクトにアサインし、負荷が集中しないようにリソース配分を平準化していくといったことが必要になります。これらのサイクルを複数プロジェクトで同時並行に対応していく必要があるため、プロジェクトマネージャー、営業、リソース管理部門が各プロジェクトのリソース状況を常に共有しておかなくてはなりません。
今回は、これらリソース管理のポイントについて整理していきます。

プロジェクトリソース管理でよくある課題

まずは、プロジェクトのリソース管理で、お客様からよく挙げられる課題について整理していきます。

誰がどのプロジェクト、チームにアサインされているかわからない

誰がどのプロジェクトにアサインされているかが、現場に聞いて回らないとわからないことがあります。そんなこと起こるのかと思いますが、特にプロジェクトが複数並行している状態でリソースを共有している場合にはよく起こってしまいます。プロジェクト計画時にアサインするメンバーを決めますが、プロジェクト状況が刻一刻と変化していくなかで、あるリソースが別プロジェクトの支援に回ったりすると、どのメンバーがどこにアサインされているかを把握することが困難になってきます。指揮系統が、管理部門とプロジェクトマネージャーなど複数ある場合は、自プロジェクトではなく、他のプロジェクトマネージャーから手伝ってほしいといわれて作業を支援していたが、自プロジェクトのプロジェクトマネージャーは知らなかったというケースを見かけることもあります。

作業負荷が特定のメンバーに集中している

プロジェクトにおいては作業負荷が特定のメンバーに集中してしまうということもよく起こります。特に作業時間の把握が、月次などで行われている場合は非常に危険です。作業時間は予定時間に対してどれぐらいに実績時間で働いているかを正確に把握しておく必要があります。負荷の集中により、キーマンのプロジェクト離脱、モチベーションの低下などは良く聞く話です。

営業がリソース状況を把握しないまま仕事をとってきてしまう

営業フェーズで、営業が社内のリソース状況を把握しないまま仕事を取ってきてしまうという問題も起こります。営業部門は受注をとりたいが、社内にプロジェクト推進できるリソースが足りなかったというケースです。その後、プロジェクト推進側に無理な残業が続いてしまう、お客様の求める納期に間に合わない、納期に無理やり合わせて納品しても品質が悪くお客様に迷惑をかけてしまうといったことが起こってしまいます。

スキルアンマッチの人がプロジェクトにアサインされてしまう

スキルアンマッチの人がプロジェクトにアサインされてしまうケースもよくあります。こちらの問題点は、お客様の求める品質でサービスが提供できない、アサインされたメンバーのモチベーション低下といったことが起こります。

リソース調整会議に時間がかかる

どのプロジェクトにどのメンバーをアサインするかをプロジェクトマネージャー間、組織単位で検討するリソース調整会議が実施されますが、プロジェクトマネージャー、部課長、組織長クラスが参加して行われる会議が長時間化していないでしょうか?またその会議の準備にも多くの時間が費やされており、リソース調整のためのコストが負担になっています。

リソース管理がうまくいかないのはなぜか?

これまでの経験とお客様との会話のなかでリソース管理がうまくいかない理由について考えていきます。

組織リソースを可視化するための仕組み、ツールがない

まず、組織のリソースを可視化するための仕組み、ツールが整備されていないことが挙げられます。多くの企業で、プロジェクトマネージャー、部課長、管理部門がそれぞれ自由にリソース管理表を作成し、リソースを管理していないでしょうか?リソース配分を調整するリソース調整会議で各自がもちよった資料はフォーマットも管理単位もバラバラで、資料を理解することに会議時間が費やされてしまい、本来のリソースの適正配分といったことに時間を費やすことができなくなります。そもそもツールが整備されていれば、会議前に最新の状態にして、調整したい内容を事前に共有してその場で調整した内容をツールに反映させていくといったことで、リソース調整に費やされる負担はかなり軽減されます。

Excelで部課長が独自に管理している

これまで関わったプロジェクトにおいて、ほとんどのお客様、プロジェクトでリソース管理はExcelで実施していました。Excelは自由度が利くため使いやすい反面、情報共有やバージョン管理に向きません。リソース管理はどうしても部課長を超えて他プロジェクトや他組織との調整が必要になってくるため、組織として決まったフォーマットで管理する方がおすすめです。また管理ルールについても組織で統一ルールを設定することで、共通認識をもってリソース管理を行うことが可能になります。

プロジェクト間での情報共有が不十分

プロジェクトはよくも悪くもプロジェクト内に閉じてしまうことが多く、他のプロジェクトとの情報共有ができてない場合が多いです。同じフロアで働いているメンバーが、それぞれどのプロジェクトで何を実施しているかよくわからなく、プロジェクトが問題化するとその噂話だけがどこからともなく聞こえてきて、どこか他人事で関心がないということはないでしょうか?プロジェクト間で情報共有ができていないと、今後どのプロジェクトでどのようなフェーズを迎えてどんなスキルセットのリソースが不足してくるといった情報収集が難しくなります。リソースの偏り、リソース不足の収集を早期に行うためにも、プロジェクト間での情報共有は重要な要素です。

営業とプロジェクト推進側のコミュニケーション不足

受注を取りたい営業とリソースがパンパンで手が回らないプロジェクト推進側とでよくおこる衝突は、プロジェクトリソースの情報共有不足が原因でおこります。プロジェクト推進側は営業に対して最新の状況と今後のリソースの空き具合を常に伝えておく必要がります。リソースの稼働率を上げるためにも、案件状況とプロジェクト実施の状況は両者で共有しておくことが必要です。

リソース管理でまず取り組むべきこと

リソース管理を有効に機能させるためにまず優先して取り組むべきことを挙げていきます。

リソース管理の目的を組織内で共有

先にも触れましたが、プロジェクト型企業において、プロジェクトお客様に提供できる価値はまさに人(リソース)です。良いプロジェクトにするには、適正なスキルを持ったリソースを適切なタイミングでアサインしていくことが、プロジェクトの成功、お客様満足につながります。プロジェクトマネージャー、部課長、管理部門、営業も含めてリソース管理の重要性を再認識し、管理するための目的について改めて共有することが重要です。リソースの最適化はプロジェクト型企業における肝となることについて改めて意識合わせをしていきましょう。

組織のリソース管理を一元管理

まずは組織のリソースを管理するルールと定めて、情報を一元管理することが必要です。管理するためのフォーマットとツールを統一し、常に最新の情報を更新しておくのがよいでしょう。プロジェクトマネージャー、営業、管理部門でばらばらに保持している情報を一か所で管理していくことで、リソース状況の把握が非常にスムーズに行うことでできます。誰がどのプロジェクトにいつまでアサインされているか、だれがどのようなスキルセットをもっているか?今後のどのような案件が発生しそうで、どのタイミングでだれをアサインさせるか?といったリソースの最適化のための判断材料を取得することができます。

リアルタイムの情報共有

リソース管理ツールを選定するにあたり、リアルタイムにどこからでも情報更新が可能であるクラウドツールがおすすめです。特に最近では、プロジェクトごとにだれがどのプロジェクトでアサインされているか、どのようなスキルセットをもっているかが一目でわかるプロジェクト型企業に特化したリソース管理ツールも増えています。プロジェクトによっては、複数拠点で作業することも多いため、データ更新が遅れがちです。また営業先でリソース状況を把握するためには、クラウドで共有されていることが必須条件かと思います。また最近では、SaaS型クラウドで有効なツールが提供されていますので、まずは試用版でもよいので試してみるのもお勧めです。

まとめ

いかがでしたでしょうか? プロジェクトにおけるリソース管理の方法について整理してきました。上記リソース管理を実践するためのクラウドツールとしてDynamics 365 for Project Service Automaionのリソース管理機能もお勧めです。SaaSクラウドで提供されており、必要なところから始めることが可能です。特にプロジェクトマネージャー、部課長、営業、管理部門のプロジェクト情報の共有ツールとして非常に有効な機能が揃っています。プロジェクト型企業において、リソースの最適化はビジネスにおいて重要な課題ですので、組織としての目的、ルール・制度・運用設計を有効なツールを利用しながら検討してみてはいかがでしょうか?

ROITが提供するサービス

ROITが提供するサービス
ROITでは、4つの事業でお客様のIT投資効果(Return on IT)を最大化する事に貢献します。

・ビジネスアプリケーション事業
・データアナリティクス事業
・テンプレート事業
・教育・研修事業

業務改善、生産性向上、人材不足をクラウドERPの導入実績豊富な弊社がワンストップで解決します。

ROITのサービスへ

Dynamics 365 for Project Service Automation導入事例紹介中堅・中小企業におけるERP導入のメリット